サーカスから来た執達吏

文学・評論

『よむかも』な本の基本情報

  • 著者      :夕木春央
  • 出版社   :講談社
  • 定価      :1750円+税
  • 発売日   :2021年9月30日
  • 単行本   :370ページ
  • ISBN-10:4065243041
  • ISBN-13:978-4065243046

『よむかも』な本のポイント

  • 華族制度が存在した大正時代、その虚栄を抉る、少女たちの冒険と成長。
  • 考え抜かれた本格ミステリー。著者大化けの予感?
  • (大正時代ひょっとしてアツい? 鬼滅の刃とか)

『よむかも』な本のレビュー

  • 『サーカスから来た執達吏』よむかも。
  • 「デビュー作はそれほど……」だった新人作家が、二作目以降「!?」
  • そんな大化けをすることがしばしばあるって話。この本もそうって噂。
  • 著者の夕木春央さんは2019年『絞首商會』で第60回メフィスト賞受賞。

  • でも、このデビュー作は正直そんなにパッとはしてなかった(らしい)
  • しかし本作! 同じ大正時代を舞台にした第二作を読んで驚愕した!?
  • 絹川子爵家は百万円を超える財宝を所有していると噂されていた。
  • だが、大正十二年の――そう関東大震災で一家全滅した……。
  • 生前、当主は財宝を誰にも見つからない場所に隠し、その場所を暗号に。
  • その財宝を手に入れようと箕島伯爵家と長谷部子爵家が暗躍したが――。
  • 暗号が解かれることはなかった。
  • 震災から二年後、樺谷忠道子爵は莫大な借金に苦しんでいた。
  • 彼は十八歳の三女・鞠子にそのことを打ち明ける。
  • そして、金を借りた晴海商事からやってきた使者。
  • 和服でも洋服でもない、どこかの民族服をまとった奇妙な出で立ちの少女。
  • ユリ子と名乗ったその少女は「絹川家の財宝を見つけ出せば借金帳消しに」
  • 鞠子は借金の担保として家から連れ出されることに。
  • 文字が読めないユリ子の代わりに暗号を解く役割に。
  • ユリ子とともに生活しながら、宝探しをすることに。
  • 語り手である鞠子は使用人からは「おひいさま」と呼ばれるような深層育ち。
  • 自分たちの階級以外の世間については何も知らず。夢は小説家になりたい。
  • ユリ子は元サーカスにいた。動きは俊敏そのもの。鞠子と同じ十八歳。
  • しかし年齢のわりに世事に通じ、地位ある大人を威圧するような迫力。
  • 育った環境も性格も好対照の二人。
  • やがて共感が生まれ、ホームズ&ワトソンみたいな名コンビに成長する。
  • 鞠子は財宝を巡る箕島伯爵家と長谷部子爵家の醜い策動を目の当たりに。
  • 高潔な人々の集まりだと思っていた華族社会の実態を知り衝撃を受ける。
  • ユリ子に導かれ、冒険を繰り返し、少女から大人へと脱皮していく――。
  • 謎の中心は絹川家の財宝の暗号。
  • だが十四年前の明治四十四年にもこの財宝を巡る事件が起きていた。
  • 織原伯爵家の長男・瑛広が財宝を奪うため絹川家の別荘に侵入、番人殺し。
  • そのとき、侵入のため二時間半ほど目を離していた間に――
  • 別荘にあった財宝はすべて消えてしまっていた!?
  • 別荘の周囲は雨のためぬかるんでいた。
  • が、そこには瑛広と共犯者以外の足跡はなかった。
  • ラストの謎解きは圧巻との評判。
  • 帯にある「怒涛の30ページに目が離せない」は決して誇張ではないらしい。
  • 本格ミステリーの醍醐味が凝縮されてる感あるある。
  • 関東大震災という非常事態が、謎と密接に結びついている点も秀逸だ。
  • 記憶に残る痛快エンターテインメントである。
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