『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :加谷珪一
- 出版社 :幻冬舎
- 定価 :900円+税
- 発売日 :2022年1月26日
- 新書 :240ページ
- ISBN-10:4344986431
- ISBN-13:978-4344986435
『よむかも』な本のポイント
- 失われた30年の正体とは何か?
- 村は消えてもムラ社会は続くよ、いつまでも?
- 興味深い指摘だよね。
『よむかも』な本のレビュー
- 『国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶』よむかも。
- もう、30年だ……。
- お給料(実質賃金)はまったくといっていいほど上がっていない。
- この本は、その最大の原因を「日本特有のムラ社会的な空気」と説く。
- 他人に対する誹謗中傷、バッシングが蔓延してる――それがムラ社会。
- すなわち日本国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶ってわけね!
- 1990年代初頭に起きた「バブル崩壊」以降、事実上のゼロ成長が続く日本。
- 「先進国の中で唯一」というその事実は重い。
- まずタイトルを見て「日本人ってそんなに意地悪いっけ?」って思うかも。
- 確かに日本人には、優しさ、思いやり、和の心、絆――。
- しかして、それらは自己イメージによるところが大きい。
- 事実、学校、会社――社会に息苦しさを覚えている人は少なくないはずだ。
- 日本では何か新しいことを始めようとすると、足の引っ張り合いが起こる。
- それに、常軌を逸した誹謗中傷、メディアによる過剰なバッシング――
- 不寛容で抑圧的な「空気」が蔓延している。日々そんな空気を読んでいる。
- そうした空気がまさに「ムラ社会」的な空気なのである。
- この本は、国際比較調査から、日本人のネガティブマインドを浮き彫りに。
- すなわち、自己評価の低さ、個人の自由への意識の低さ、自殺率の高さだ。
- そうした日本社会の負の側面はコロナ禍でも顕著に表れていた。
- 感染症のパンデミックによる生活や命の危機――
- しかし政権は国民の安全そっちのけで利権の確保に走った。
- 国民の間には極端な自己責任論、感染者への誹謗中傷。
- まさに「ムラ社会」的空気、国民の底意地の悪さ。
- そんな「ムラ社会」的空気が経済に悪影響を与えている――これが真実。
- 経済への影響が深刻化したのは、みんなわかってるバブル崩壊後である。
- 戦後の日本は製造業を中心に輸出に依存する形で驚異的高度経済成長実現!
- 「ジャパン・アズ・ナンバーワン」な80年代だった。
- しかし90年代に入ると新興国の出現、ITなどテクノロジーの進化――
- 日本も「製造業+外需依存型」から「内需拡大型」への転換を迫られる。
- だがここで日本の「ムラ社会」的な空気が大きく足を引っ張ったのだ。
- 新しく変化しなきゃならないのに既得権益を守ろうとして変化を嫌った。
- しかも過去の成功の上に慢心し、謙虚さを失っていた。
- 今でも日本が「技術大国」のつもり? そんな馬鹿な。
- 半導体や液晶パネル――それらはかつての日本の強み。
- 製造業はもはや衰退している――
- 日本からiPhoneが生まれたか? 日本にGAFAは存在するか?
- 気がつけば主要先進国の中で最もIT化が遅れて「IT後進国」になっている。
- 日本はムラ社会的空気がため、消費経済への転換に必要な変化に失敗した。
- 新しい挑戦を支える「自由でおおらかな空気」は未だ感じることができない。
- 結果、日本は90年代以降のパラダイムシフトに乗り遅れ。
- 成長のチャンスは失われ――
- ゆえに「ムラ社会的空気 = 失われた30年」ってわけね。
- ――では、失われた10年くらいで日本はそのことになぜ気づけなかったのか?
- いや、日本は気づいていた。
- 86年の「前川レポート」は内需拡大・市場開放の必要性を訴えていた。
- だが、「損するんじゃないか」「そんなことはやりたくない」――
- いざ内需拡大型に転換しようとなれば、大多数が変化を嫌った。
- 結局、そのムラ社会的空気は未だ変わらず、もって何も変わらず――
- 失われた30年――単なる政策の誤りだけがその原因ではないってわけね。
- しかしそうなると、いやそれだけに、この問題の根は深い。
- 「ムラ社会的空気」とは「前近代性」である。
- 民主主義や資本主義は西欧的な「近代」の在り方の上に作られている。
- 人々の自由と権利を尊重しながら、契約や法といったルールも大事に。
- 倫理観と合理性をもって社会を営む、それが「近代」である。
- 明治維新後の日本は形の上では急激な近代化の道を歩んできた。
- 一方で、社会の中には「ムラ社会的空気」がずっと残ってきた。
- 強烈な同調圧力、それはときに合理性をも軽んじ、不寛容で自由を抑圧する。
- じつはこうした日本の前近代性は明治時代の著名人たちも指摘してるところ。
- 福澤諭吉、夏目漱石、渋沢栄一などがそうである。
- まずは日本人がこの問題を自覚し正面から向き合わなきゃならない。
- では、そこから失われた30年を取り戻すことははたしてできるのか。
- 日本には謙虚に外国の良いところを取り入れ、それを生かす力があった。
- それは「日本文化の本来の良さ」であるはずだ。
国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶 (幻冬舎新書)
国民の底意地の悪さが、日本経済低迷の元凶 (幻冬舎新書)
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