『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :日暮えむ
- 出版社 :KADOKAWA
- 定価 :1100円+税
- 発売日 :2022年2月2日
- 単行本 :176ページ
- ISBN-10:4041122244
- ISBN-13:978-4041122242
『よむかも』な本のポイント
- 親の若い頃の話とか聞いたことあるか。
- 聞いとけ。人生の先輩の話だ。
- 親が亡くなって後悔することがある。
『よむかも』な本のレビュー
- 『ひぐらし日記』よむかも。
- マンガで描くオーラルヒストリーは日本初の表現技法じゃなかろうか、って。
- オーラルヒストリーとは今を生きる人々にインタビューしてその歴史を綴る。
- 普通の人々の営みとは、案外にも誰も書き残さないもの。
- しかし学問としてのオーラルヒストリーは、著名人だけが対象ではない。
- あらゆる人々のあらゆる暮らしは、記録に値する何かがあるって。
- そんな普通の人々の生と死をマンガで綴ったのが、この本です。
- 千葉県成田市の外れ、利根川沿いの農村出身の著者がマンガで綴る近現代史。
- 描かれる時代は1970年代から80年代にかけて。
- 確かに近現代であるが、その家の営みは明治時代、江戸時代からの地続きだ。
- そこはサラリーマンがいない世界。
- 父、宮大工。母、主婦。
- 中国戦線から帰ってきた祖父は牛飼い。
- 祖母は近所の漬物屋で漬物作り。
- そして、ひ孫の著者を可愛がる、明治生まれの曾祖母「としょさん」
(そして、としょさんはこの本の主人公とのこと) - ――家族みんなが手に職世界。
- としょさんを軸に描かれるこの家の「生」は忙しい。
- たとえば、地元成田山の名物「瓜の鉄砲漬け」の中に入れるしそ巻き作り。
- 曾祖母、祖母、母、著者の女4世代が担ってる。
- 畑で大量の赤じそとトウガラシを育てる。
- トウガラシは樽で塩漬けにする。
- 赤じそは30~40枚をきれいにまとめて藁で縛り、丁寧に塩を振って塩漬け。
- そして秋になるとトウガラシをしその葉で巻き、樽に納めて漬物屋に卸す。
- 「死」についても目を離せない。
- 利根川を船で渡って成田に嫁ぎ。
- たくさんの子を産み。
- 何人かを幼少期に亡くし。
- 戦争を乗り越え。
- ひ孫の送り迎えを続けて。
- 仕事人として生活人として現役であり続けたとしょさん。
- 著者が高校生のときにガンになる。
- 自宅で闘病し、死を迎える。
- 棺桶は宮大工の父がしつらえ。
- 母が自宅での葬儀を仕切り。
- 村の男衆が墓穴を掘り。
- としょさんの納められた棺をみんなで収めた。
- マンガだからこそか、仕事と生活、生と死――農村にぐいぐい引き込まれる。
- とにかくディテールがすごいのである。
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