『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :木村紅美
- 出版社 :河出書房新社
- 定価 :1670円+税
- 発売日 :2021年10月27日
- 単行本 :152ページ
- ISBN-10:4309029973
- ISBN-13:978-4309029979
『よむかも』な本のポイント
- 最後までどうなるか読めない小説らしい。
- あなたに安全な人ってどんな人ですか?
『よむかも』な本のレビュー
- 『あなたに安全な人』よむかも。
- この小説の舞台は、東北のとある町。「感染者第一号」を誰もが恐れる地。
- 教師を辞めて人目を避けるようにひっそりと暮らす妙。
- 沖縄新基地反対のデモで警備をしていた便利屋の忍。
- 二人には「過去に人を死なせてしまったかもしれない」共通点が。
- 教え子をいじめ自殺に追いやってしまったかもしれない。
- 警備中にデモ参加者を不慮の事故で死なせてしまったかもしれない。
- 忍は沖縄での記憶が蘇ると、それを振り払うようにライターで身体を炙る。
- 妙は教え子のいじめを見過ごし、それが彼の海難事故死を招いたのでは……。
- そんなとき、妙の近所で東京からの移住者が自殺するという事件が起きる。
- 新型コロナ感染を恐れるマンション住民から忌避されたことが原因だという。
- この死者の存在が、接点のなかった妙と忍を結びつける。
- 二人は妙の家で共同生活を送ることに――。
- 互いに顔を合わせず、メモと鈴で静かにコミュニケーションをとる。
- 妙と忍の視点で語られる本作。
- 互いの感情がすれ違っている様は淋しくも、ユーモラス(ヘンな関係)
- 同じ場所にいても人によって見ているものが違う。でも、どこか重なってる。
- 世間の空気から逃れる、互いの気配を読みながら距離をとって暮らす二人。
- 空気は顔を合わせている人同士で「読む」、そこに軋轢が起こる。
- 二人はその段階にまでもいかない関係。つまり「あなたに安全な人」である。
- だが、その関係は危ういバランスの上に成り立っている。
- どうなるか分からないまま話は進む。どうなるか最後まで読めない一冊。
- (著者は辺野古の米軍基地前で座り込みに参加、機動隊に排除された)
- (そのとき、暴力的な行為をせざるを得ない側の視点で小説を書きたい)
- (岩手で実際に起こった出来事を参考に)
- (実際その町を歩いてみると、驚くほど人の気配がなかった)
- (そんな土地で暮らしていたら、自分もよそ者を阻害したかも)
- (自分の中の加害者性を見つめたいと思った)
- (東日本大震災復興に携わる友人が、被災地の幽霊話を普通に受け入れてた)
- (死者と生者とが対等に扱われている場所がある)
あなたに安全な人
あなたに安全な人
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