『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :岸由二
- 出版社 :筑摩書房
- 定価 :860円+税
- 発売日 :2021年7月8日
- 新書 :240ページ
- ISBN-10:4480684050
- ISBN-13:978-4480684059
『よむかも』な本のポイント
- 最近まじ水害がこわい。
『よむかも』な本のレビュー
- 『生きのびるための流域思考』よむかも。
- 著者は東工大で教鞭をとる。そこで学生たちに質問する。
- 「目黒区の東京工業大学キャンパスは何川流域にある?」
- 答えは「吞川」。シン・ゴジラ第二形態が羽田から遡上した川。
- 正答率はいつも15%に満たないという。
- 吞川はキャンパスのど真ん中を流れている――
- しかし、東工大付近では暗渠となり、川面が見えないからだそう。
- 「流域」といえば「川沿いの地域」だと誰もが思うはず。
- だから、川が見えなければ意識できない。
- この本によれば、流域とは「雨水を川に変換する大地の構造」である。
- 雨が降る、水は低い方へ必ず流れる、そして川になって海へと注ぐ。
- 普段は乾いた台地、山の斜面、暗渠の上の緑道――
- あらゆる土地はどこかの流域に属しているのだ。
- そこで「流域思考」
- 治水、街づくり、自然保全――
- リアルな人間の営みすべて、大地の細胞である「流域」を意識し工夫すべし。
- なぜ、そのような工夫が必要なのかといえば「生きのびる」ため。
- 日本では毎年、大規模な豪雨災害が起きている。
- 背景に気候変動があるのは事実。
- が、二酸化炭素削減などの緩和策だけじゃ激甚化する豪雨災害は防げない。
- 水の流れを意識した「流域思考」を念頭におくべし。
- 都市開発も治水も暮らし方も進化させる必要がある。
- 例えば、東京と神奈川をまたぐ鶴見川で実践された日本最初の総合治水。
- 鶴見川沿いの横浜国際総合競技場は遊水池として機能することが知られる。
- だが、それだけじゃない。
- 40年かけて流域全域に設けられた下水施設。
- 5000カ所の雨水調整池。
- 源流域の1000haの保水林。
- ――すべてが総合的に機能してはじめて水害を防げるのだ。
- 日本列島は平野が少なく、小規模な流域が連続している。
- おかげで独自の自然が栄え、水田文化が発達した。
- だが一方で、誰もが水害リスクと向き合わねばならない地形でもある。
- まずは散歩がてら、近所の川を探してみよう。
- 自分がどの流域に暮らしているか確かめよう。
- それが「生きのびるための流域思考」の第一歩となるはずである。
生きのびるための流域思考 (ちくまプリマー新書)
生きのびるための流域思考 (ちくまプリマー新書)
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