破天荒

文学・評論

『よむかも』な本の基本情報

  • 著者      :高杉良
  • 出版社   :新潮社
  • 定価      :1600円+税
  • 発売日   :2021年4月21日
  • 単行本   :256ページ
  • ISBN-10:4104547077
  • ISBN-13:978-4104547074

『よむかも』な本のポイント

  • 著者最後の作品となるかもしれない自伝的経済小説。
  • 日本の青春期は眩しい自由闊達さに溢れて。
  • 有形無形に押しつけられる不可解な「正しさ」を跳ね返す。

『よむかも』な本のレビュー

  • 『破天荒』よむかも。
  • 著者自身が主人公の自伝的経済小説。最後の作品になるらしい。
  • 自分の青春期が日本経済の青春期と合致した若き日。
  • 毎号4ページの石油化学業界紙記者として方々を駆け巡った。
  • 日本が高度経済成長期の入り口にあった1958年秋、19歳で内定を得た主人公。
  • 試用期間で早くもスクープをゲット。その度胸と機転を利かせた取材ぶり。
  • 程なくして業界にその名を轟かせる存在となる。
  • 官僚や企業幹部に遠慮の欠片もない正論を吐く。
  • 取材相手の職場に図々しく入りこむ。不在の相手の席に勝手に座って待つ。
  • 方々でハレーションを起こすも、同時にファンも増やしていった。
  • 当時の大らかな取材環境。コンプライアンスに縛られる現在との違いを実感。
  • 昔の通産省はフリーでどこでも入れたって。今は経済省に入るの大変だよ。
  • 代表的エピソードの一つは、1972年3月。
  • 通産省の行政指導による大手化学各社の「エチレン不況カルテル」認可申請。
  • その特大スクープの内幕が描かれる。(課長がばらしたのか!)
  • 取材相手に恐れられつつも、口の固さで信頼される記者。
  • ときにその領分を踏み越えて働くこともある。
  • 化学メーカーが最新の省エネ技術を他社に供与する案件の仲介。
  • しかも当時、化学業界1位の昭和電工が犬猿の仲だった東洋曹達工業などに。
  • その謝礼に関しては、誰かが聞いたら目を剥きそうなエピソード。
  • 数々の仕事をなし、豊かな人間関係を築いてきた著者の根底にあるもの。
  • 「伝えたいことを存分に書く」
  • 現代、有形無形に押しつけられる不可解な「正しさ」
  • それを跳ね返すような自由闊達さが眩しい一冊。
  • (著者おすすめの自著はデビュー作『虚構の城』と『広報室沈黙す』だって)

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