貿易戦争は階級闘争である:格差と対立の隠された構造

ビジネス・経済

『よむかも』な本の基本情報

  • 著者      :マシュー・C・クレイン、マイケル・ペティス
  • 翻訳      :小坂恵理
  • 出版社   :みすず書房
  • 定価      :3600円+税
  • 発売日   :2021年5月19日
  • 単行本   :320ページ
  • ISBN-10:4622089998
  • ISBN-13:978-4622089995

『よむかも』な本のポイント

  • 米中の貿易戦争の原因とは何か? 貿易の不均衡。
  • では、貿易の不均衡の原因とは? 貧富の格差。
  • そんなわけで『貿易戦争は階級闘争である』
  • 真に必要なのは「格差是正へ向けた各国の協調」である。

『よむかも』な本のレビュー

  • 『貿易戦争は階級闘争である:格差と対立の隠された構造』よむかも。
  • 米中対立の大きな原因は何か? それは「貿易の不均衡」
  • アメリカと中国の経済力が逆転。と、軍事力のバランスも崩れる……。
  • そんなこんなで今、アメリカと中国は「貿易戦争」の様相を呈す。
  • 「貿易不均衡」というけれどその原因、実は「貧富の格差」だという。
  • 主要国内では、富は超富裕層に集中、その他大勢が貧困化。
  • 「過剰消費により米国の貯蓄と投資のバランスが偏っている」
  • マクロ経済の視点では、これが米国の貿易赤字の原因である。
  • これはかつての日米貿易摩擦で主張され、今の米中摩擦でも同様に聞かれる。
  • この本も、国際マクロ経済の視点から問題を再確認する。
  • そして世界経済全体的な歪みとその原因を探り、格差の解消方法を提案する。
  • 貿易黒字国としての中国とドイツ
  • 貿易赤字国としてのアメリカ
  • ――が、主に取り上げられる。
  • 黒字国に共通する病理とは。低賃金労働階級の「過少消費」である。
  • 一方で労働者を犠牲に、超富裕層には巨額の「余剰貯蓄」が生じる。
  • 中国やドイツの場合、過少消費で国内は需要不足、すでに設備過剰。
  • 超富裕層の余剰貯蓄のうまい投資先が国内にはほとんどない。
  • となれば、消費しきれない製品と余剰貯蓄資金は何処へ向かうか。
  • 消費大国・金融大国である米国だ。
  • 結果、労働者は職を奪われ、深刻な金融危機を引き起こしたり――。
  • 米市民の借金による過剰消費はそんな流入資金バブルのせい。
  • さらにドイツは余った資金をユーロ圏低賃金諸国へ、中国は一帯一路構想へ。
  • (悪循環が生じてる……?)
  • この本は、英国の経済学者ジョン・ホブソンの『帝国主義』から示唆を得る。
  • 帝国主義の大国間戦争。それは第1次世界大戦やロシア革命。
  • それに先立つ、不平等な所得分配による過少消費。
  • それを原因とする帝国主義の発展と大国間の確執。
  • この本は、現状を19世紀末の帝国間競争の時代になぞらえる。
  • 貿易不均衡は、関税引き上げやサプライチェーン再編では解消されない。
  • 真に必要なのは「格差是正へ向けた各国の協調」。しかし容易ではない。
貿易戦争は階級闘争である――格差と対立の隠された構造
********************************* 「貿易戦争は国家間の対立として表現されることが多いが、そうではない。これは主に、銀行や金融資産の所有者と一般世帯の対立、すなわち超富裕層とその他大勢の対立である」。貿易黒字...

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