おんなの女房

文学・評論

『よむかも』な本の基本情報

  • 著者      :蝉谷めぐ実
  • 出版社   :KADOKAWA
  • 定価      :1650円+税
  • 発売日   :2022年1月28日
  • 単行本   :272ページ
  • ISBN-10:404111442X
  • ISBN-13:978-4041114421

『よむかも』な本のポイント

  • おんなの女房って百合か、百合なのか?
  • って思っちゃったの私だけ?
  • 時代小説は百合の可能性に満ちている。

『よむかも』な本のレビュー

  • 『おんなの女房』よむかも。
  • 歌舞伎のいろはも知らぬまま女形に嫁いだ武家の娘・志乃。
  • 芝居に全てを注ぐ燕弥。
  • 歪な夫婦の無二の恋物語――なんだって。
  • キャラの強いキャラが続々登場するのがウリみたいね。
  • 舞台となるのは、文政期の江戸である。
  • 主人公は、彗星のごとく現れて世間から注目を集める存在となった女形――
  • じゃなくて、その女房って話。
  • その女房、武家の娘として躾けられた志乃は、歌舞伎の世界を全く知らず。
  • 常日頃から女として生きる燕弥に嫁いでからというもの戸惑うばかり。
  • 「自分はどうあるべきなのか」
  • 日々逡巡する彼女の前に現れるのは、芝居にかかわる個性豊かな面々だ。
  • お富は、ひょんなことから知己を得た、格上役者の女房である。
  • 夫の浮気を疑って、女の立ち入りを厳禁とする芝居小屋に躍り込み。
  • お才は、夫を元気づけるため、駆け落ちしていなくなった妾を連れ戻す。
  • 二人とも実在した女房たちのエピソードを集めてできたキャラだとか。
  • お才は、著者もお気に入りのキャラだとか。
  • 女房連のほかもみんなキャラ強めだとか。
  • そうした人物たちが「時姫」「清姫」「雪姫」「八重垣姫」と章ごとに登場。
  • ちなみに章題は燕弥が演じる役なんだって。
  • その歌舞伎の筋立ても、物語の流れの中で、時にそれぞれの口調で語られる。
  • そんなところが、読みどころの一つなんだって。
  • つまり、皆さん、歌舞伎ってこんなにも面白いんですよ。みたいな。
  • 最初は歌舞伎の筋さえ知らず、聞かされるばかりだった志乃。
  • しかし、自分を掴んでいくにつれ、また自らも語り始める。
  • そして、言葉少なく肚の読めなかった燕弥にも、だんだんと変化が訪れる。
  • これまで見えていなかったものが、読み進めるうち少しずつ露わになってく。
  • 夫婦の関係に正解はない。その二人だけの関係が「夫婦」なんだな。
  • 志乃と燕弥の関係もまた、独特ではあっても二人なりの「夫婦」
  • その先に待つのは、切なくも愛しい行く末である。
  • 「もしも自分だったら?」
  • そんな想像をしながら読み進めてもいい。
  • 最後はタイトルの持つ意味に胸を衝かれる――そんな時代小説なんだって。
  • (うん、百合時代小説ではなかったよ)
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