『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :山川徹
- 出版社 :KADOKAWA
- 定価 :1700円+税
- 発売日 :2022年2月16日
- 単行本 :368ページ
- ISBN-10:404400630X
- ISBN-13:978-4044006303
『よむかも』な本のポイント
- 地震大国日本っていうよね。
- 災害関連死も知っておきたい基礎知識といっていいんじゃないかな。
『よむかも』な本のレビュー
- 『最期の声:ドキュメント災害関連死』よむかも。
- この本の冒頭に描かれるのは「四歳の女の子の死」だっていうショッキング。
- ICUで闘病中に熊本地震が発生、病院が倒壊する危険があった。
- そこで転院を余儀なくされた。そして、本震から五日後にお亡くなりに。
- これもまた地震がなければ失われることのなかった命だったといえる。
- 自然災害での直接的な死ではなく、災害後に命を落とす「災害関連死」
- この本は副題の通り、災害関連死を追った本邦初のドキュメントだって。
- 「災害関連死」という言葉が初めて登場したのがいつのことだか知ってる?
- 答えは、1995年の阪神・淡路大震災。
- 以降、自然災害の直接的犠牲者は約2万人。対して災害関連死者は約5000人。
- 新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震――。
- 災害によって心身が蝕まれていく人は少なからずいるって話。
- とくに東日本大震災。家族の骨壺を抱えて海に飛び込んだ少年がいた。
- 津波後に自死した人、障害を負ってしまった人とその死。
- どうすれば、彼らの命は助かったのか?
- そうして紐解かれるのは、半世紀前の羽越豪雨。
- 「災害弔慰金の支給等に関する法律」(1973年)
- 両親と二人の息子を亡くした国会議員が奔走して、世界初の法律が成立した。
- これがいま「災害関連死」であるかどうかを決める唯一の根拠となっている。
- 認定を受けるには、遺族が市町村の窓口に申請書を提出。
- 自治体は災害弔慰金等支給審査委員会を開く。
- そこで認定を受けて初めて災害関連死者となる。
- もって遺族は弔慰金の支給や各種サポートが受けられるようになるんだって。
- つまり審査が通らなかったり、遺族が申請しなければ災害関連死にならない。
- すなわち災害関連死者約5000人は氷山の一角に過ぎないという。
- あちこちで野ざらしにされている災害関連死がある。
- 認定された人にスポットを当てれば、埋もれている人も浮かび上がるはず。
- この本には弁護士も多く登場するって。
- それはすなわち災害関連死が法律の問題だからなんだって。
- 遺族の思いを受けて、弁護士は認定を勝ち取るため自治体と闘います。
- 阪神・淡路大震災では自死が初めて災害関連死と認定されました。
- 東日本大震災では既往症を持つ人も認められました。
- それもこれも遺族の強い思いがあったからこそ。
- それは「次」へとつながる財産に。
- 他方、申請を受け付けない行政の水際作戦。
- 議事録を残さないなど弔慰金支給審査会のおざなりな対応。
- 怒りを禁じえないって話。
- 東日本大震災では行政が「災害弔慰金法」の運用を間違えた。
- 審査会を「人の死をふるいにかける場」にしてしまった。
- それは多くの遺族を切り捨てるという愚行。
- 心を痛めている遺族を慰め、広く救いの手を差し伸べるべきだったのに。
- 本のタイトルにあるように、災害関連死は被災した人の最期の声だ。
- 死の一つ一つを見直す作業が、次の災害で命を救う手がかりとなる。
- 災害関連死――それは今を生きる私たちへの遺言なのである。
- とはいえ、彼らは教訓にしてくれと死んだわけじゃない。
- どういう社会制度や社会設計、支援制度があれば死なずに済むのか。
- あくまでも災害関連死とは私たちの問題なのだ。
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