『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :マイケル・サンデル
- 翻訳 :鬼澤忍
- 出版社 :早川書房
- 定価 :2200円+税
- 発売日 :2021年4月14日
- 単行本 :384ページ
- ISBN-10:4152100168
- ISBN-13:978-4152100160
『よむかも』な本のポイント
- この階級社会を変えることはできるのか。
『よむかも』な本のレビュー
- 『実力も運のうち:能力主義は正義か?』よむかも。
- 「運も実力のうち」はよく聞く。じゃあ「実力も運のうち」は?
- 「実力」という言葉はフェアに聞こえる。
- が、それは単に「生まれという運」による幻想にすぎないのでは?
- 米ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が不都合な真実に切り込む。
- 『The Tyranny of Merit』(原題)。直訳「能力の専制」
- だけど「merit」の原義は「能力」よりも「功績」に近いという。
- 功績、とくに学歴によって人生が決まってしまう。
- 能力主義(メリトクラシー)という仕組みの横暴。
- ある人がその大学に入学できたという能力の証「学歴」
- すなわち、功績。
- が、現実を見よ。
- 所得で上位5分の1に当たる家庭出身者。
- すなわち、3分の2のハーバード大学生。
- が、彼らは自分が入学できたのは「努力と勤勉さ」のおかげと思ってる。
- アメリカは人権、性別、出自によらず、努力で成功を手にできる。
- すなわち、アメリカンドリーム。アメリカ人はそんな幻想を信じてきた。
- が、今こうした能力主義がエリートを傲慢にしている。
- 勝者と敗者。
- 未曾有の分断をもたらしている。
- もちろん、これはアメリカだけの現象じゃない。
- ヨーロッパで行われた心理学者チームによる調査でも同義だった。
- 教育水準の低い人たちへの偏見が強い大学教育を受けた回答者たち。
- しかも、職業、人種、性別などによる偏見よりも強いのだ。
- 人種差別や性差別が糾弾される現代。しかし学歴偏重主義は広く容認される。
- すなわち、これこそが最後の偏見なのである。
- その理由とは。能力主義に基づく「自己責任」という考え方だ。
- 「成績が悪い? 個人の努力不足でしょ」
- 「大学へ行けなかった? 本人のせいでしょ」
- しかも、学歴の低い人々自身もこうした見方を共有している。
- 自らが置かれている現状、その責任は自分にあると考える。
- すなわち、能力主義の呪縛である。
- 「教育こそ社会問題を解決する!」
- そう強調するほどに、地位の低い集団はさらなる低評価を付与される。
- 呪縛が社会全体に深く浸透し、多くの人々の自信を失わせている。
- それが今の能力主義社会。
- 人種、階級、性別は関係ない。誰もが平等に成功につながる学歴を手に。
- それが真の能力主義社会――であるはずだった。
- が、実際には、能力主義とグローバリゼーションは大きな不平等をもたらし。
- 1980年代以降のアメリカでは、上位10%の富裕層が利益の大半を懐に。
- 下位50%の人々は何も得ることができなかった。
- 新たに出現したこの階級社会を変えることはできるのか。
- すなわち、それこそがこの本の問いかけるところって話。
- (格差が問題になってるのって、やっぱ日本だけじゃないんだね)
- (私はベーシックインカムやベーシックアセットに魅力を感ずる)
- (ってのは短慮なのかなぁ……)
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