- 『中世ヨーロッパ:ファクトとフィクション』よむかも。
- 著者:ウィンストン・ブラック 監修:大貫俊夫
- 翻訳:内川勇太、成川岳大、仲田公輔、梶原洋一、白川太郎、三浦麻美、前田星、加賀沙亜羅
- 出版社:平凡社 定価:3200円+税 発売日:2021年4月23日
- 単行本:384ページ ISBN-10:4582447139 ISBN-13:978-4582447132
- 中世ヨーロッパに関する11のフィクション、そのファクトを暴く世界史本。
- 中世ヨーロッパについて抱く印象ってどんな感じ?
- 疫病と飢饉、魔女狩り、異端審問……あんまし明るい印象じゃあないかも。
- しかしてしかし、そんなネガティブイメージはファクト! って話。
- ここ200年ほどで植え付けられた誤解なんだって。(なんだって!?)
- 中世の人たちは地球が平らだって思ってた。
- お風呂にも入らず、不潔で、腐った肉とかもガツガツ食べてた。
- 教会は科学を敵視、今は真実でも昔は教会の権威により迫害され続けてた。
- 魔女として、何の罪もない女性たちが何万人も火あぶりにされた。
- 全部ファクト! このような説は「文化上構築された『中世』」らしい。
- しかも前世紀までに歴史学の専門家たちによって否定されているらしい。
- (し、知らんかった……)
- でも、今でも私たちの生活に入り込んでるよね。
- 『ハリー・ポッター』『ゼルダの伝説』などなどなどなど。
- (私の中では『ベルセルク』のイメージがめっちゃ強いんだよね)
- 21世紀に入ってもステレオタイプな中世概念に基づく映画やゲームは絶えず。
- フィクションの世界だけじゃない、ノンフィクションでもこれらが散見され。
- 米国の、著名な政治家たちもステレオタイプをまき散らしてきた。
- なぜ、それらの誤った説がこれほどまでに広まってしまったのか。
- そして、実際には何が起こっていたのか。
- 豊富な一次資料が提示され、我々の固定観念を丁寧に解きほぐしてくれる。
- 例えば、宗教と科学は対立しておらず、むしろ教会は科学を後押ししてた。
- (教会も地球が丸いことはわかっていたのだ!)
- 11のフィクションがいかにして定着したか、その根底には同じものがある。
- 専門家が一部の事象を全体のように扱い、自説のために都合よく解釈した。
- その産物である。
- 中世は「暗黒時代」と揶揄される。
- しかし野蛮で暴力的な時代は5世紀からせいぜい8世紀にかけて。
- 1000年間もの長きに亘り「暗黒時代」とくくるのは無理がある。
- 欧州に「魔女ヒステリー」があったのは事実。
- が、中世の終わり、15世紀以前に魔術の使用を理由に処刑された女性は1人。
- 中世の人が腐った肉を食べていた説は英国人化学者が文献を誤読。
- 「もー、昔の専門家は仕方ないなぁ」って。他人事じゃないって。
- 情報化社会たる21世紀の私たちも、一部を全体のように解釈してない?
- 自分に都合のいいデータだけを見てない、って自信をもって言える?
- インターネットの普及で、情報の入手しやすさは当時とは比較にならない。
- でも人の性として「見たいものしか見ない」傾向があるのは明らかじゃんね。
- 歴史は現状を都合よく判断するための道具じゃない。
- 自らを安心させるための薬でもない。
- 歴史にどう向き合うべきか改めて考えさせてくれる、そんな一冊だって。
- (こういう本と一緒に世界史を学べば楽しいかもっていう気づき)
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