- 『沈まぬユーロ:多極化時代における20年目の挑戦』よむかも。
- 編著:蓮見雄、高屋定美 出版社:文眞堂
- 定価:2500円+税 発売日:2021年3月15日 単行本:208ページ
- ISBN-10:4830951125 ISBN-13:978-4830951121
- 1999年、欧州単一通貨ユーロが導入されて以来、20年以上の月日が流れた。
- ユーロは幾度も危機に見舞われ、ユーロを支える仕組みは強化された。
- ECB(欧州中央銀行)も危機防衛のツールを強化させてきた。
- ユーロを採用している国は当初の11ヵ国から19ヵ国へと増えている。
- 様々な課題を抱えつつも、簡単には消滅しそうにないユーロ。
- この本は、第一線の学者と民間エコノミスト6人とがユーロについて論じる。
- 誕生以来、ユーロは2度の深刻な危機に見舞われた。
- 2008年からの世界的な金融危機
- 2009年以降のギリシャ財政赤字改ざんに端を発する欧州債務危機
- 一時はギリシャなどが離脱寸前にまで追い込まれたが、なんとか乗り切った。
- 「ユーロを守るためなら何でもやる」
- 当時のドラギECB総裁の巧みな政策運営
- EU(欧州連合)経済を維持する強い政治的意思と連帯の精神
- などがユーロの信頼を支えてきた、って指摘もある。
- そして今、新型コロナウイルス。
- ユーロ圏は欧州統合史上最大の危機に直面している。
- EUはここでも復興基金の創設やユーロ共同債の発行を決めた。
- 興味深いのは、これまで緊縮財政に拘泥してきたドイツが同意したこと。
- ドイツの「突然の転身」の背景とは?
- ドイツ型新自由主義の後退とケインズ主義の影響の広がりがあるでは。
- 国際通貨としての役割では米ドルの後塵を拝してきた。
- しかし今、それにも変化が見られるという。
- 例えば、米国の対ロシア制裁も影響し、ロシアの対EU輸出ではユーロ決済増。
- 対中輸出でも、人民元決済の割合はなお低い反面、ユーロ決済は伸びている。
- ユーロが世界的なドル支配を脅かす存在になるかはいまだ不透明。
- しかし、EU当局はユーロの国際的役割の強化に乗り出している。
- とはいえ、ユーロ圏が抱えている課題は決して少なくはない。
- 復興基金はコロナ特別措置でしかなく、EUの財政調整力の強化には遠い
- 域内格差の解消や構造改革は進まず、銀行同盟や資本市場同盟も未完成
- 米中の覇権争い、EU離脱後の英国の動き、さらにデジタル通過競争など
- ユーロの長期的安定のためには「EUの政治統合が不可欠」との指摘もある。
- 世界の地政学的分断が進む中、重みを増しそうな構想ではある。
- しかしそんな世界情勢の中、EUは一層の結束を図れるだろうか。
- ユーロを巡る様々な力学を読み解く上で有益な本といえそうね。
沈まぬユーロ
誕生から20年あまり、ユーロは、世界経済の荒波に翻弄され続けてきたが、危機の度に進化し生き抜いてきた。だが、その前途は多難である。FACEBOOKのリブラ、デジタル人民元など官民を交えた国際通貨競争の時代にユーロはいかに立ち向かうのだろうか...
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