『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :西鋭夫、岡﨑匡史
- 出版社 :中央公論新社
- 定価 :3000円+税
- 発売日 :2021年7月20日
- 単行本 :704ページ
- ISBN-10:4120054535
- ISBN-13:978-4120054532
『よむかも』な本のポイント
- サンフランシスコ講和条約調印70年だからね。
- 貴重な資料だし読み物としても面白いって話。
『よむかも』な本のレビュー
- 『占領神話の崩壊』よむかも。
- 戦時公文書は多くが焼却されてしまったけど、どうにか残ったものもある。
- フーヴァー研究所東京オフィスが1945年11月~51年3月に収集した文書資料。
- その資料を駆使して、占領期日本の政策決定過程や裏面工作などを明らかに!
- ――大陸での日本の阿片政策の実情。
- ――東京裁判での陸海軍の保身ないし他方への攻撃ともとれる供述。
- ――悪名高い特高警察の関係者が占領期に追及を免れた様子。
- ――ばかりか、GHQ(連合国軍総司令部)に雇用された状況。
- などなど、盛りだくさんの内容でお届け。
- 歯に衣着せぬ赤裸々な描き方で、暴かれる占領期の日本人たちの実態。
- 特に重要なのは「日本国憲法制定」をめぐる駆け引きだとか。
- 日本の民主的再建には新憲法制定は不可欠。それは日本側も理解してた。
- でも天皇の地位とか、日本側の思いとGHQの目標には大きな隔たりが。
- そんなわけで日本政府の提示した「松本草案」は受け入れられなかった。
- それに吉田茂外相の負託で交渉に当たっていたのが白洲次郎だった。
- 白洲は無意味な個人的プライドのために状況を悪くする失態を犯した。
- でもそんな活躍できなかったにもかかわらず、自己宣伝はすごかった。
- そんなわけで伝説で粉飾されてきた白洲の虚像も暴かれる。
- あとGHQを懐柔するために日本政府が必死だった様子ね。
- 自発的に慰安施設を設けたり、さまざまな接待を尽くしたり。
- 冷ややかに描かれるけど生き延びるためだからね、したたかとも言える。
- 米国将校と浮名を流した名流婦人たちもいたんだとか。
- 彼女たちは犠牲者だったのか、つかの間の解放を味わっていたのか……。
- 貴重な資料に基づいた興味深い研究。
- 先に挙げた白洲次郎ら日本側要人の人格批判が鋭い。
- 一方で、接待を受けた側の人間性にはほとんど踏み込んでない印象。
- 敗者は卑屈になるものだけど、勝者が卑屈になることもあるんじゃねってね。
- 人間研究としてはもう一歩踏み込んでほしいところ。
- とはいえこの本は多くの貴重な資料を全文掲載してて読み物としても面白い。
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