- 答えは、新陳代謝の定説を覆す発見だといわれているよ。
……ええ、暗黒……士ですが何か……?
- 動物の体内では古い細胞が死んで新しい細胞に置き換わる。
- それによって健康な状態が維持されているんだ。
- こうした現象は「ターンオーバー」と呼ばれている。
- ターンオーバーは新陳代謝が活発な腸管でも盛んに起こっているんだって。
- 腸管のターンオーバーは「アポトーシス」が原因で生じると考えられてきた。
(「アポトーシス」はあらかじめ予定されている細胞死のこと) - 今回はこの従来の説が正しいかどうか、研究が行われたってお話ね。
(理化学研究所、生理学研究所、群馬大学の研究グループによる) - 研究対象としては「ショウジョウバエの腸」が用いられた。
- まず、ショウジョウバエの腸管でアポトーシスが起こらないようにしてみた。
- ところが、アポトーシスが起こらなくても、ターンオーバーが起こった!?
- ターンオーバーはアポトーシスが原因と考えられてきたのに、おかしいね?
- ひょっとしてアポトーシス以外の原因が……?
- そこで調べてみた結果、発見された「アンジオテンシン変換酵素(Ance)」!
- そんな名前のタンパク質が合成されていることがわかったんだ。
- さらに、Anceがつくられている細胞とつくられていない細胞を比較してみる。
- と、Anceがつくられている細胞は、形が平たくなっていた。
- そして、細胞中の核膜やミトコンドリアなどが失われていたんだ。
- 最終的には生命の設計図とされるDNAまでなくなって死ぬことが判明。
- 実験のために蛍光発色するタンパク質の遺伝子を組み込んでみる。
- と、Anceがつくられた細胞では蛍光タンパク質が失われ暗くなった。
- そんなわけで、古代ギリシャ語では「暗黒」を意味する言葉「エレボス」
- これを使ってAnceがつくられた細胞死は「エレボーシス(暗黒の細胞死)」
- と名づけられたんだね。
- この研究は「新陳代謝の定説を覆す発見!」だっていわれてる。
- 今後、研究グループは「ヒトの腸管でもエレボーシスが起こっているか」
- エレボーシスのさらなる調査としくみの解明に取り組む予定なんだって!
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