『よむかも』な本の基本情報
- 著者 :山田敏弘
- 出版社 :文藝春秋
- 定価 :850円+税
- 発売日 :2022年4月20日
- 新書 :256ページ
- ISBN-10:4166613596
- ISBN-13:978-4166613595
『よむかも』な本のポイント
- ウクライナがプロパガンダ戦を有利に進めてる理由が知りたくてガーファム。
『よむかも』な本のレビュー
- 『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』よむかも。
- ウクライナ問題で見えてきた「情報を巡る戦い」(サイバー戦争)の重要性。
- とくに、ウクライナがプロパガンダ戦でリードしているその理由とは?
- 情報やサイバー空間でも新たな覇権を狙う中国とどう向き合う?
- 日本のサイバーセキュリティはどうなってるの?
- この本は、こうした問題に詳しい国際ジャーナリストの人がご解説するよ。
- ロシアのウクライナ侵攻では連日にわたって双方によるプロパガンダ合戦。
- そもそも、プロパガンダってご存じ?
- 戦争の見え方や世論を、情報や宣伝の力で自分たちに有利な方向へ導く。
- その歴史は古い。
- 例えば「ウクライナ東部のロシア系住民がネオナチに攻撃されている」
- ロシアが侵攻の大義名分として使おうとしたよね。
- これは「偽旗作戦」っていう古典的なプロパガンダの一つ。
- 今回はウクライナ側のプロパガンダが上手く機能している印象を受ける。
- 例えば、ロシアの情報がフェイクであることをアピール。
- ロシア兵による虐殺の証拠やミサイル攻撃の被害に遭った病院の映像。
- 国際社会がウクライナに支援や共感したくなる情報を積極的に発信してる。
- SNSを中心としたテクノロジーの進化が、プロパガンダ戦を大きく変えている。
- なぜ、ウクライナはプロパガンダ戦を有利に進められたのか?
- それはウクライナを支援する西側諸国の情報機関、そしてGAFAM。
(GAFAM:Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft) - ロシア側の偽情報は次々と検証され、もはや「ロシア≒フェイク」
- 「ロシア側の情報操作はひどい、嘘だってバレバレ」
- そう感じるなら、それはウクライナ・西側諸国・GAFAMのプロパガンダの成果。
- それから今回、ロシアはサイバー攻撃の面でも苦戦している印象を受ける。
- サイバー攻撃は、より直接的に相手のシステムを攻撃して破壊・無力化する。
- 2014年のクリミア侵攻では、ロシアが事前に強力なサイバー攻撃。
- ウクライナ側の防衛システムを麻痺させ、電撃的な侵攻に成功。
- 2008年のジョージア侵攻(南オセチア紛争)も同様だった。
- ひょっとしたら、ロシアにはこれらの成功体験による過信があったのかも。
- アメリカはこの反省からウクライナのサイバーセキュリティ強化を支えた。
- マイクロソフトなどの民間企業も巻き込んで、対策を着実に進めてきた。
- ロシアは今回も非常に高度なサイバー攻撃を仕掛けてきた。
- しかして今回は、それを迎え撃つ準備がしっかりと整っていた感がある。
- このように、情報戦の重要性が高まってる。
- となれば気になるのは、今や世界をリードするIT大国となった中国。
- 例えば、アメリカ主導による「ファーウェイ製品排除の動き」
- 実際、一般人がファーウェイのスマホを使っても直接的な危険はほぼない。
- ただし、中国政府に情報を盗まれている可能性はある。
- しかし、E・スノーデンが暴露したように、同じことはアメリカもやってる。
- 要するに「どちらに情報を抜かれるのがマシなのか?」
- 中国で普及している『WeChat』は日本のLINEみたいな。
- このアプリは中国当局が内容をチェックできるように暗号化されていない。
- ファーウェイやアリババは中国政府の意向に逆らうことが現実的に不可能。
- 中国企業の製品や通信インフラから、中国政府が情報を盗める。
- それらに大きく依存すると、中国と敵対した場合、どうなる?
- アメリカが懸念しているのが、まさにこの点。
- 自分たちが依存している製品やインフラが突然使えなくなる恐れだってある。
- 当初中国との経済関係を重視して、アメリカの動きに消極的だった西側諸国。
- 香港や新疆ウイグル自治区での人権問題や安全保障、情報管理――
- ドイツやフランスなどのEU主要国も今や中国への警戒感を強めている。
- では、日本のサイバーセキュリティは大丈夫なの?
- 日本はアメリカとは違って、明確にファーウェイを排除していない。
- とはいえ、政府や防衛省の人たちはファーウェイは使っていないと思われ。
- (ただ「こないだ防衛省でレノボのパソコンが配給されたよ」って噂も……)
- だけど、アメリカも情報を盗んでる。中国だけ悪いって話じゃない。
- ただし、中国企業は中国政府と切っても切れない関係にある。
- ゆえに、依存するのは、有事の際により危険になってくる。
- これらにおいて重要なのは、国家や防衛の機密を扱う人のセキュリティ。
- 企業で重要な知的財産を扱う人のセキュリティ。
- それらを高めていかなきゃダメ。それはもはや陰謀論でも何でもない時代。
- まずは、正しい危機感を持つこと。
- その上で、具体的なサイバーセキュリティの強化「アメリカ依存」でいいの?
- そんなこんなを考えるのによさそうな一冊ですね。
プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争 (文春新書 1359)
アメリカの覇権をくつがえそうとするロシアと中国。サイバー技術とスパイを使った戦いは私たちに何をもたらすのか。
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